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効果的な文章表現の小技―わかりやすい説明文章の書き方

わかりやすい説明文章の書き方
前回の記事では、わかりやすく説明の文章を書くために有効な方法について、主題を明確にする、文章の目的を明確にする、読み手を想定する、文章の組み立て(構成)について、説明しました。
今回は、効果的な文章表現の小技についてご紹介していきます。

3.1 文をスリムに

一文が長いと、とにかく読みづらくわかりにくくなります。
一文の長さは50文字程度まで、なるべく短くしましょう。

1) 不要な語句を削る
話し言葉をそのまま文章に使うと冗長になることが多々あります。
特に、ことばを重ねた表現や文末の婉曲表現などは不要です。

修正例:
「一方においては」→「一方では」
「施工することができます」→「施工できます」
「上がらないようであれば」→「上がらなければ」
「どういうふうに表現」→「どう表現」

2) 不要な修飾語句を削る
就職語句は強調のためには必要なこともありますが、正確さとわかりやすさのためには不要です。

修正例:
「きわめて何度の高い施工と」→「難度の高い施工」
「今までになかった最新の」→「最新の」
3) 重複した表現を削る
話し言葉では自然に感じられるけれど、文章にしてみるとおかしな重複表現は削りましょう。
最近では、ワープロソフトでアラートが出ることもあり、便利です。
修正例:
「未だに未解決」→「まだ解決していない」「今も未解決」
「私が行った行為は」→「私の行為は」「私が行ったことは」
「大別すると三つに分けられ」→「大きく三つに分けられ」「三つに大別され」

4) 文末表現を見直す
修正例:
「検討を行う」→「検討する」
「実施が予定されて」→「実施を予定し」

3.2 わかりやすさを向上させる

1) 一文一義(1つの文には1つの意味)
1つの文に複数の内容が入ってしまうと、非常にわかりにくくなります。
修正例:
「教師をはじめ多くの大人たちも当惑している子どもたちの変化は、子ども自身に原因があるのではなく、社会環境にある。」
→「子どもたちが変化したことに、教師をはじめ多くの大人たちが当惑している。子どもたちの変化の原因は、子ども自身にあるのではなく、子どもを取り巻く社会環境にある」

2) 多義解釈を避ける
修正例:
「ペーターは泣きながら走り去るハイジを追いかけた。」
→「ペーターは、泣きながら走り去るハイジを追いかけた」
 「ペーターは泣きながら、走り去るハイジを追いかけた」

3) 否定文・否定表現は肯定表現に変える
否定表現は直感的に理解しづらく、特に「~でないということはない」のように一文内に否定表現が二度現れる二重否定分は読み手の混乱を招きます。
修正例:
「今回の調査結果が特殊なケースでないという可能性は高くない」
→「今回の調査結果が特殊なケースという可能性がある」

4) 語順を整理する
主語と述語は近づけましょう。

修正例:
「国民の多くは、徐々に広がっている経済や教育の格差を是正することが必要だと考えている。」
→「徐々に広がっている経済や教育の格差を是正することが必要だと、国民の多くは考えている。」

修飾句は短く、修飾語と被修飾語は連続させましょう。
修正例:
「まったく新しい弊社のサービス」→「弊社のまったく新しいサービス」

修飾句がどうしても長くなるのであれば、二文に分割しましょう。
「自分の思っていることと行っていることの食い違いに悩んでいたり、自分の行動が周囲から受け入れられずに困ったりしている生徒が、保健室に来室します。」
→「悩んでいたり困ったりしている生徒が、保健室に来室します。彼らは、自分の思っていることと行っていることの食い違いに悩んだり、自分の行動が周囲から受け入れられずに困っていたりするのです。」

3.3 正しい表現を使う

1) 主語と述語を対応させる
「私は、将来、世界を飛び回るパイロットになることが夢です」
→「私の夢は、将来、世界を飛び回るパイロットになることです」

2) 副詞の呼応関係を順守する
「到底」「まったく」「必ずしも」「いっこうに」「全然」→「~ない」(否定表現)
「例えば」「まるで」「あたかも」→「~のよう」(比喩表現)
「なぜ」「はたして」「どうして」「いつから」→「~だろう(でしょう)」(疑問表現)
「きっと」「まさに」「もちろん」→「~だ」「~にちがいない」(断定表現)
「多分」「おそらく」→「だろう(でしょう)」(推量表現)

3) 口語表現を使わない
・ら抜き言葉、い抜き言葉
「食べれる」→「食べられる」
「来れる」→「来られる」
「考えてる」→「考えている」
「してる」→「している」
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3.4 誰か他の人に文章を読んでもらい、問題を指摘してもらうことから

前回もお伝えしましたが、これらの小技を含む「文章の基本」を守ることができていない文章が、わかりにくい説明文章ということになります。
自分の文章が「文章の基本」を守れていないということには、最初のうちは自分一人では気づけないことがほとんどです。
誰か他の人に文章を読んでもらい、問題を指摘してもらうことから始めるとよいでしょう。
だんだんと、「文章の基本」が身についてきて、自分でも読み直せば気づくようになり、そして「文章の基本」を守った文章が書けるようになります。

【参考文献】
綿井雅康 第五章 説明と文章表現 比留間太白・山本博樹(編) 2007 説明の心理学 ナカニシヤ出版 pp.65-79.

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